昭和21年、戦後バラック小屋が建ち並ぶ商店街に掲げられた七夕飾り。宮城県沖地震の昭和53年、8.5豪雨の昭和61年、そして東日本大震災が起きた2011年も中止することなく開催されてきた「仙台七夕まつり」。藤崎前に飾られた真っ白い吹き流しを見たとき、七夕さんは“祈りの祭り”なんだと改めて感じた3年前。
椋鳩十賞作家で仙台在住の 佐々木 ひとみさんの新作『七夕の月』(ポプラ社)を拝読。
七夕飾りを「想いのかたち」と表現したひとみさん。七夕祭りは飾って楽しむだけの祭りではなく作って祈る祭り、が全編を通して書かれる(老舗紙屋さんのおばあちゃんの手紙には胸が熱くなります)。
願いをかける祭りは、一見平和な時代の象徴にもみえる。しかし、悲しい出来事から立ち上がるには「祈りの気持ち」が必要だったし、事実、飾りには祈りが込められている。そう思いながら飾りをじっくり見ると、いつものとは違う「仙台七夕まつり」になるかもしれない。
『七夕の月』仙台七夕前に一読を。