昭和30年代の仙台駅の乗客案内人として
働いていた国鉄マンに、早矢仕武夫(はやしたけお)さん
という方がいらっしゃったそうです。
メガホン片手に声をからして一日中ホームを
動き回り、当時、通勤通学で仙台駅を利用していた
人なら必ず知っているほどの“名物男”だった
らしく、名物男ゆえにその喋り方や振る舞いを
真似する乗客もいたそうです。
添付した下記のこのムービーは、
その早矢仕武夫さんの駅のアナウンスを、ある人が
真似て昭和61年に録音したものです。
「せんだーい せんだーい」という、
あの独特のアナウンスが流れる駅構内の
模様を再現しています。
写真:阿部幹夫氏撮影
(このムービーはプレイ後、画面右下のスピーカーマークで
ミュートを解除してからお聞きください。ボリュームにお気をつけください。)
他にも弁当を売る声、乗り継ぎ電車の案内など
よく耳コピーしたものだなぁ、というものが入っていました。
(とは言え、私は直接本人のアナウンスを
聞いていないので、似ているかどうかわかりませんが)
お借りしたテープのインデックスには
「その姿は誰からも親しまれ、当時仙台駅を利用していた
人にはたまらない懐かしさがこみ上げてくるだろう」と、
記されていました。
記憶に残る写真による風景、そして音の風景。
各個人の記憶は思い出としていつまでも鮮明に残るのでしょうが、
ぼんやりと薄れつつある記憶をなんらかのカタチに残す作業は、
街の公共財をカタチにするのと同意語なんだと、
改めて感じました。