昨日、せんだいメディアテークで「シネマテークの“昨日・今日・明日”」
と出したスタジオレクチャーがありました。講演者は日本のシネマテーク
である東京国立近代美術館フィルムセンターの主任研究員・岡田秀則さん。
世界のシネマテークの歴史・現状と、フィルム・アーカイブのこれからに
ついてのお話しでしたが、フィルム・アーカイブで重要なのは、
収集、保存、分類、カタログ化、資料化という点。これはフィルムに限った
ことではないな、と思いつつ伺いました。
それは、実際に私も大正・昭和初期の絵葉書写真集や仙台七夕まつり
の本を企画・編集する段階で、経験したことだったからです。
ひとつのテーマで企画・編集をするときに、多くの場合、現存の資料を
いろいろ探り、それぞれのテーマに添った答えを導き出す出す作業を
行います。歴史書、市史、全集、地図、写真…など。
しかし、資料の紛失や経年による傷みなどで調べがつかない、あるいは
貴重品ゆえに見ることもできない資料もあり、なかなか検証もできにくい
ことも多いのが現実です。(中には貴重な絵葉書がすっかり抜かれて
いる悪質なものも…)
だからこそ、印刷による“複写”が必要なのだと思うのです。
デジタルデータによる保存というのも、確かにひとつの保存方法では
あります。しかし、保存性と閲覧性ともに兼ね備えた媒体というのには、
大変心許ない保存方法でもあるのです。
印刷複写によって、多くの方々の目に触れる機会が増え、次世代へ貴重な
資料を残すこともできやすくなるでしょう。せっかく先人が残してくれた資料。
その資料をもとに様々な検証を加えるためにも、地図や写真、絵葉書などの
いわゆる一次原稿を残すための処置を施さなければなりません。
収集、保存、分類、カタログ化、資料化。
やはり、それを一度に行え、誰でも簡単に扱い見ることができるのは
“印刷媒体”以外にはありません。