明治22年、市制施行した「仙台市」。
当時の仙台市の人口86,352人で現在の約11分の1。
県内初の市として仙台市が誕生し、平成21(2009)年、
120周年という記念すべき節目の年を迎え、せんだい
120アニバーサリー委員会では記念誌の製作を企画
いたしました。
大正元年に発行された地図「仙臺市全圖」で著されている
旧仙台市街地図をもとにし、30ブロックに分割したエリア
を約400%拡大。現地図と左右ページで一見して比べら
れるように構成したのが『100年前の仙台を歩く 仙台地図
さんぽ』です。
「仙臺市全圖」の原図製作者は、第二師団の軍職を退職した
「琴田じゅん(隼辺に鳥という漢字)一郎」。在職中に修めた
漢学・絵画・製図術などを生かして明治44年2月から半年に
わたり実査を行ったと、「本圖出版の趣意書」の中で述べています。
それまで仙台に正確な地図がないことを憂いたことが製作の
きっかけでした。つまり、この地図の完成は、仙台において
詳細かつ本格的なカラー地図が仕上がったことを意味する
といえるでしょう。
琴田氏は、自ら現地に足を運び、俗名・旧名の他、社寺の
縁起や道端の墳墓や古木に至るまで、名のあるもの全てを
示しました。地図を詳しく製作するため、市中あまねく歩き
ていねいに作られた「仙臺市全圖」。100年後の私たちが
当時の仙台の様子をつぶさに観ることができるのは、心血を
注いだ琴田の情熱のおかげと言えます。
(「仙台地図さんぽ」あとがきより)