風の時編集部 【仙台の原風景を観る、知る。】

“仙台の原風景を観る知る”をテーマに、2005年「風の時編集部」を設立。100年前の古地図『仙台地図さんぽ』や仙台城下絵図『仙台まち歩きシリーズ』、昭和時代の写真集『仙台クロニクル』等を企画。2023年現在42作を発行 ●風の時編集部 代表 佐藤正実 ●Eメール:info@sendai-city.net ●TEL:022-295-9568 ●〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-11-5 A610 ●楽天市場ショップ→http://rakuten.co.jp/kazenotoki/

似て非なる、「どこコレ?」と「3月12日はじまりのごはん」のアーカイブの指向性

「どこコレ?」は、もともとどこを写したのかが分からない写真を市民の知見によって【いつ?どこ?】を絞り込んで資料化する試みで、「3月12日はじまりのごはん」は、【いつ?どこ?】が予め分かっていて同じ写真にどれだけたくさんの異なる体験を貼り付けられるかを探るもの。

つまり「どこコレ?」はキャプションを一本化する作業で、「3月12日はじまりのごはん」はキャプションを複数形にする作業、という正反対の指向性を持つ。本来のアーカイブの主旨からすれば、撮った本人だけのヒアリング情報からキャプション化されればそれでよく、それ以外は二次資料として処理されるが、敢えてそれを拾い上げていこうという試みである。

2014年4月29日 第3回「どこコレ?」考えるテーブル
第3回「どこコレ?」展示の様子
来場者から寄せられたコメント

「3月12日はじまりのごはん」は、昨年、せんだいメディアテークと共同で展示開催し、食事や炊き出しに並ぶ様子を写した写真を見ながら、震災後、初めて食べたのはいつ?何を?など、自分の体験談を付せんに書き出してもらった。考えるテーブル「公開サロン」第9回(2013年6月開催)で、あの日の食べ物、食べたことを思い出し語ることで、当時の生活状況も鮮明に思い出すという効果があったことからスタートしたイベントである。

このリメイク版を行ったのが、2月の横浜と3月の多賀城。横浜では水島先生のファシリテーションにより首都圏に住む方々の3.11体験や想いを。そして、多賀城では市職員の方々のご協力で、はじまりの“ごはん”がはじまりの“お風呂”の話にもなるなど、年代も立場も異なる人々が集まってあの日を語りあうことで様々な記憶が誘発された。

1枚の写真が何十という体験を引き出し、そのどれもが実体験であること。見方をサポートするための“選択されても良い複数のキャプション”が、その副産物と生まれたというのも興味深い結果となった。

2014年10月〜第1回「3月12日はじまりのごはん」