「本屋さんの現在とこれから−書肆アクセスの閉店が意味するもの−」
シンポジウムに参加してきました。
日販・東販などの大手取次店を通さない本を取り扱う
地方小出版センターのアンテナショップとして
独自の路線を歩んできた「書肆(しょし)アクセス」さん。
当社の商品も昨年からお取り扱いしていただいておりますが、
神保町にあるこの10坪ほどのこの書店が
“閉店”する意味とは何か、がテーマでした。
パネラーは、「彷書月刊」編集長の田村治芳さん、
書肆アクセス店長の畠中さん、
ライターの永江朗さんのお三方。
書肆アクセスさんは全国の小さい出版会社
1,300件の版元のみが対象だそうで、
もともとは書店に対する販売が中心でした。
97年頃から本の売り上げが減少し始めたとのこと。
「全国でもここにしかない本屋」という特筆すべき書店が、
なぜ閉店に追いやられたのか…。
1.書店の構造。
2.嗜好性の変化。
3.ネット購入客の増加。
とう理由があげられました。
出版・書店を取り巻く業界は大きく構造が
変化してきてます。出版物件数は1973年の4倍、
しかし全体の売り上げは減少傾向。そして、新刊書が
書店に置いてある期間はおよそ1週間。さらに返品率40%は
初版部数を減らす傾向に拍車をかける…。
しかし、全国各地の書店の成功例を見る限り、
書肆アクセスさんの閉店の理由は簡単ではなさそうです。
年間1000軒のお店が無くなっている書店。
結局、新刊店、古書店ともに
「地域色に特化した書店作りが必要」
ということになるんでしょうね。
それとともに、風の時編集部のように本当に小さい
出版会社は、新たな販売方法や仕掛け、ルートの確保にも
今までとは違った発想が求められるのかもしれません。
現在、風の時編集部で発行している商品は、
取次店を通さずに、書店に直接卸す“直販”という
スタイルを取っています。
商品の販売動向がリアルタイムでわかり、
商品情報も直接行えるのがメリットです。
しかし、少人数で行っているために、納品や返本、
在庫確認などが煩雑になるおそれから、
置いていただく書店を増やすことが
できないというデメリットがあることも確かです。
小さいながらも出版という業務に携わる者としては
“本のデリバリー、在庫確認を行ってくれるような
ニッチ業務を取り扱う会社”があれば、二の足を踏まずに
設置店舗を増やすことができるのに、とも思いました。
出版・書店業界の構造上の問題があるのであれば、
そこに目を付けて業界を補完してくれる業種(会社)が
現れてくることを願います。
2時間のシンポジウムでしたが、大変有意義でした。
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