風の時編集部 【仙台の原風景を観る、知る。】

“仙台の原風景を観る知る”をテーマに、2005年「風の時編集部」を設立。100年前の古地図『仙台地図さんぽ』や仙台城下絵図『仙台まち歩きシリーズ』、昭和時代の写真集『仙台クロニクル』等を企画。2023年現在42作を発行 ●風の時編集部 代表 佐藤正実 ●Eメール:info@sendai-city.net ●TEL:022-295-9568 ●〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-11-5 A610 ●楽天市場ショップ→http://rakuten.co.jp/kazenotoki/

風にたなびく“七夕さん”の原風景

五色の短冊や吹き流しが
風にたなびく“七夕さん”の原風景。



昭和30年代の仙台七夕まつり
 
2007年の仙台七夕まつり

 仙台の夏の風物として彩ってきた七夕。
 大きな着物や五彩の短冊や吹き流しの飾り付け。
軒先に立てられた細い竹竿がしなる姿。
爽風に揺れるそれらの飾り付けは、私の知っている
豪華絢爛な“仙台七夕”とは趣が異なる。

昭和初年頃のものと思われる古めかしい絵葉書に写る
この七夕絵葉書は、最近ブームの“昭和レトロ”と呼ばれる
時代よりさらに30〜40年ほど遡る時代のもの。
手作り感たっぷりの七夕飾り、そして子どもたちの
可愛いゆかた姿やはしゃぎ声が聞こえてきそうな
賑やかな光景は、現在、街中で行われる仙台七夕まつり
には見られないものである。

たった80年という歳月の中で変貌を遂げた仙台七夕の姿。
仙台七夕まつりの変遷をひも解いてみようと思ったきっかけは
そこにあった。

 本書ではおおよそ年代特定が可能な写真(絵葉書)を
精選し掲載した。詳細は本書内で明らかにされているとおりである。
仙台の伝統文化のひとつである仙台七夕まつり
より知っていただくために、主な歴史と仙台固有の
七つ飾りの意味・作り方を中心に編集し、対訳英文も併記した。

また、戦後七夕年表と地図も資料として巻末に収録したので、
理解の幅を拡げていただければと思う。
明治以降の七夕飾りの変遷をご覧になり、皆さんはどのような
感想を持っただろう。 
 今や全国から200万人を超す観光客が訪れる真夏の
イベントに成長した仙台七夕まつり
しかし、私達が誇るべきことは“規模”や“観光客数”ではなく、
藩政期から続けられているという“事実”なのではないだろうか。
400余年続く伝統のまつり“七夕さん”。
その脈々と受け継がれてきたまつりの意味を知ることは、
街を知るひとつの手がかりとなるだろう。

 本書を出版するにあたり、多くの皆様より貴重な資料の
ご提供やご教示を賜り、心より御礼申し上げます。
とりわけ、近江恵美子様には七夕全般にかかわる
膨大な資料を整理し、簡潔明瞭に執筆していただいたこと、
心より感謝申し上げます。

 最後に、仙台在住の方や、県外や外国から仙台七夕まつり
ご覧に来られた方などにとって、本書が仙台七夕まつりを知る
一助となれば幸いである。

 五色の短冊や吹き流しが涼風を誘う。
今年も間もなく仙台七夕まつりの季節がやってくる。



2007(平成19)年7月7日 
有限会社イーピー 風の時編集部 佐藤 正実

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2007年7月25日発行した
仙台七夕まつり 七夕七彩」あとがきより


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