アーカイブの役割を食べ物に例えるなら、味が変わらないよう素材を“冷凍保存”して未来に残すようなもの、と思われるかもしれない。しかし、素材を残しただけではどう食べて良いのか分からず、レシピも一緒に残してこそ未来の人に味が伝わる。
収集・保存・編集・公開という一連のアーカイブ作業の中で最も要になるのは「編集」。集められた素材をどう編集するかによって、アーカイブの方向性が見えてくる。これが「レシピ」作り。
例えば、この写真に「昭和30年仙台駅より青葉通西側を望む」という1行のキャプションだけでとどめるのではなく、写真に写っている「丹六」や「仙台市電」、建設中の「日ノ出ビル」、青葉通の「大ダルマ」、「仙台自転車」など、誰かの想い出が加わることで、多くの物語を生み出すきっかけになる。そのための、みんなが集う広場作りも必要になってくる。
記憶は記録化され、その記録がさらに記憶を呼び覚ます。
編集のキモは“想い出”、“感情”という味付けなのだと思う。