ずっと読みたかった「ユージニア」(著:恩田陸)読了。通勤の往復30分を読書時間に充て、1週間に1冊を読み切る程度だけど、久々に熱中してすっぽり入り込む^ ^
インタビュー形式の一人称で、読み進めるうちに段々謎が繋がっては見えにくくなってしまうという…白黒はっきりつかないじめーっとした話がはまるポイント(笑)
◎「事実に即したつもりでいても、人間が書くからにはノンフィクションなんてものは存在しない。ただ目に見えるフィクションがあるだけよ。目に見えるものだって嘘をつく。聞こえるものも、地に触れるものも。存在する虚構と存在しない虚構、その程度の差だと思う。」
◎「恐怖は信憑性を高めるスパイス。適度に振り掛ければ話をもっともらしく見せることができる。」
◎「新聞の記事や、教科書に載っている歴史っていうのは本当に大まかな最大公約数の情報なんだなって。」
◎「一人の老人が死ぬことは、一つの図書館がなくなることだ。」
など、登場人物のセリフも琴線に触れまくり!
あとがきを読むと、デザイナーのこだわりで、単行本の本文は版面に対して時計回りに1度傾いているらしく、しかも、「て、で、に、を、は、へ」の6文字だけは傾きがなく「ゃ、っ、ゅ、ょ」は上の文字にくっつけて組版している、、、話の不安定さをさらに印象づけるための工夫。「文字は“流す”のではなく“組む”のだ」というコメントに納得。
表紙は白い紙に白色を2度刷り、トンボのためだけに黒色を刷り増ししたらしい。
んー見てみたい。絶版の単行本を探そう。