昭和6年に竣工したこの3代目宮城県庁舎は、昭和天皇即位記念事業として、1931(昭和)6年に建設された。
左右対称と調和を重視したルネッサンス様式の美しい赤レンガ作りだったが、老朽化を理由に1986(昭和61)年に解体された。4代目となる現庁舎はその3年後の1989(平成元)年に落成。前庁舎の頂塔のみ庁舎正面に置かれている。
(写真/佐藤昭八郎さん 所蔵/風の時編集部 河北新報夕刊「仙台・あの日昭和の一葉」2019年12月24日掲載)
-----(追記)-----
宮城県内&仙台市内の建物は、歴史的価値を生かすよりも効率と経済が優先されてきた。昭和61年に解体されたこの「宮城県庁舎」、平成18年「農林中金仙台支店」、平成20年「東仙台政府倉庫」。そして今度は、改築で進んでいた築38年の「宮城県美術館」に突如移転新築案が浮上した。
「いずれは建て替える必要がある。今やるか、20年先にやるかの議論だ」と述べる県知事。効率ばかりが優先され、あまりに性急な議論に県民からの想いはどこへやら。急がなければならない他の理由があるのでは?と勘ぐられても仕方がない。また、県民は“理解を求められている”ようであるが、どうか先人を、そして歴史を大切にするまちであって欲しい。素晴らしいまちなみ、風景、建物が、本や映像だけではなく、実物で見せられる、そんな宮城県、仙台市であって欲しい。
(撮影/佐藤昭八郎さん 所蔵/風の時編集部 河北新報夕刊「仙台・あの日昭和の一葉」2019年12月24日掲載)