風の時編集部 【仙台の原風景を観る、知る。】

“仙台の原風景を観る知る”をテーマに、2005年「風の時編集部」を設立。100年前の古地図『仙台地図さんぽ』や仙台城下絵図『仙台まち歩きシリーズ』、昭和時代の写真集『仙台クロニクル』等を企画。2023年現在42作を発行 ●風の時編集部 代表 佐藤正実 ●Eメール:info@sendai-city.net ●TEL:022-295-9568 ●〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-11-5 A610 ●楽天市場ショップ→http://rakuten.co.jp/kazenotoki/

「3.11キヲクのキロク」4年前の今日発売でした。

市民が写し撮った大災害の膨大な写真データに撮影者の体験記に加え、それを検証できるよう年表を加えた震災記録誌が、当時必要だと思いました。

2011年3月11日を境に、非日常が日常となった市民生活。そして、あれから5年という歳月が過ぎようとする今。3.11の風化は確実に進みましたが、上手に3.11を忘れるために、そして上手に3.11を思い出すために・・・これら1500枚の写真が伝えようしていることを、この機会にもう一度自分自身、感じておきたいと思っています。

この冊子と連動したパネル展では、全国110ヵ所で展示していただきました。記録誌もパネル展も、本当に多くの皆さんのご支援で作り上げることができた「3.11キヲクのキロク」だったと、改めて実感するところです。ありがとうございました。

出版時にぼんやりと考えていた「発災から5年目までにやるべきこと」には遠く及ばず。しかし、次の5年までにやるべきことを軌道修正し、「アーカイブは将来へのプレゼンである」という、次のフェーズに向けて、地道に取り組んでいこうと思っています。

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「3.11キヲクのキロク」在庫ございます。
ご購入希望者はお問い合わせください。
info@sendai-city.net

仕様/A4ヨコ判 総330ページ
価格/2,160円+送料
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以下「3.11キヲクのキロク」
編集後記
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私たち市民が撮った「3.11」の日常記録。
100年後でも決して忘れないために。
今、私たちができること。

 2011年3月11日午後2時46分。あの日、大震災の全貌が見えない中、私たちは度重なる余震に怯え、言い表しようもない不安に襲われました。情報は閉ざされる中、唯一ツイッターでは、安否確認、自宅周辺の被災状況、給水や買い出し情報など、ごく身近な情報が続々と発信し続けられていました。
 「もしかすると、これが3.11を残す記録画像になるのかもしれない」というぼんやりとした予感のもと、私たちは震災から12日目の3月22日夜、ツイッターで震災画像の提供を呼びかけました。
 4月4日、300枚の画像をもとに「3.11市民が撮った震災記録」Webを立ち上げ、市民による震災記録のプロジェクトがスタート。市民である私たち一人ひとりが撮ったこれらの写真は、報道写真とは異なる目線で撮られたものばかりでした。
震災時、市民は何を考えどう行動したのか。町の様子や生活を営む人々の姿は、ありのままの当時を伝えており、これらの記録は、同日時でありながら別々の場所を時系列で見ることができる貴重な資料になる、ということを再確認しました。
 Webだけではなく後世に残せる形として「書籍化」を考え始めたのは5月。被災地以外では、すでに震災の忘却と風化は始まりつつありました。未曾有の大震災という歴史に直面し、言葉では言い尽くせないほどの体験をした私たちが、今、何をすべきか。何ができるのか。
 震災から1年。未だ復旧もおぼつかず、あの恐怖の体験は誰もが忘れたい記憶です。
これらの記録は、もしかしたら、今はまだ必要のない資料かもしれません。しかし、報道が伝えきれない震災の事実を映し残すことで、防災意識をつなぎ止め、記憶遺産として後世に伝えていくこと。復興までの道程の証として、伝えていくことこそが、被災地の人間の役割だと思っています。
 本誌出版にあたり、画像をご提供いただいた市民約150名の皆さま。震災体験のヒアリングにご協力いただいた約50名の皆さま。「3.11伊達なむすびあいプロジェクト」として、むすびあいバンダナをご購入支援いただきました全国の皆さま。新聞記事抜出し作業をお手伝いいただいた小田朋子さん、押野緑さん。震災の歴史をご指南くださった木村浩二さん、渡邊慎也さん。震災への想いを詩で綴っていただいた武田こうじさん。そして、2カ月半に渡り、毎週仙台入りして震災体験ヒアリングの作業を一手に引き受けてくださった片岡理恵さん。多くの方々に多大なるご協力をいただき、このような形にすることができましたこと、心から謝意を捧げます。本誌は私たちの力だけでは到底成し得ませんでした。市民みんなの力で作ったと言っても過言ではありません。本当に、ありがとうございました。
 日本国内、そして世界中の方々からあたたかいご支援・ご声援を受け、私たちは震災前より素晴らしい郷土にする!という強い信念を持って日々を過ごしています。そして、震災を乗り越えた自分たちの故郷を必ず取り戻します。その姿をお見せするまで、皆さんにはずっと「3.11」に関心を持ち続けていただきたい、と願っております。
 最後に、この度の「東日本大震災」で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げるとともに、被災により犠牲になられた多くの皆さまのご冥福を、深くお祈り申し上げます。

2012(平成24)年3月1日
              
NPO法人20世紀アーカイブ仙台
副理事長 佐藤 正実