風の時編集部 【仙台の原風景を観る、知る。】

“仙台の原風景を観る知る”をテーマに、2005年「風の時編集部」を設立。100年前の古地図『仙台地図さんぽ』や仙台城下絵図『仙台まち歩きシリーズ』、昭和時代の写真集『仙台クロニクル』等を企画。2023年現在42作を発行 ●風の時編集部 代表 佐藤正実 ●Eメール:info@sendai-city.net ●TEL:022-295-9568 ●〒983-0852 仙台市宮城野区榴岡3-11-5 A610 ●楽天市場ショップ→http://rakuten.co.jp/kazenotoki/

「感情」までもキロクするアーカイブを。

「震災アーカイブをいかに活用するか」という議論が始まっています。
記録を、ゆくゆくどう活用してもらうべきかという話し合いをもつことは大切だと思いますが、その前にまだやるべきごとがあります。アーカイブの基本は、収集、保存、編集、閲覧。活用するまでのルーティン・ワークとして、どれひとつとして外せるものはありません。ただ、最近は「集められた素材」イコール「アーカイブ」として語られることが多く、集めたらそれで一丁上がりと思われている節が気になります。

将来の活用を考えると、編集なしに利活用は考えられません。
例えば、2011年4月7日夜中に起きた最大余震。なんの編集をせずに写真にキーワードを付けるとすれば、おそらく「4月7日」「23時32分」「M7.1」「震度6強」「建物倒壊」「停電」と「撮影者」、「撮影日時」程度ではないでしょうか。
問題は、それで100年後の人にこの「4月7日」という日が伝わるのか、ということです。

当時、沿岸部を除き仙台はインフラが戻り、後片付けも済み、買い物やガソリンも並ばずに手にすることができるようになりました。1週間後の4月15日には桜の満開宣言が出され、春の陽気を感じていたときです。ところが再び6強の強い地震が東北を襲いました。400万戸が停電し、建物はさらに倒壊。余震は止まず、また大地震が来るのではないかという不安と恐怖・・・。元の生活に戻りつつあると感じていた市民の心はぽっきりと折れました。
その感情が写真に付加されてこそ、アーカイブは大きな意味を持ってきます。

2011年4月7日震度6強地震により、再び家財道具が倒れる
2011年4月8日3月11日の本震より壊れたものが多かった。風呂場は使用不能

震災記録写真は撮った本人でなければ、その写真の持つ意味を100%理解することはできません。
まして、世代が変われば当然記憶は風化し、時間とともに段々薄らいでいくことにつながります。なぜ撮ろうとしたのか、そのときどんな気持ちで撮ったのか、その感情や思いまで全部閉じ込めておく必要があるのです。
つまり、それができるのは、写真提供者が記憶している今しかなく、市民と一緒に本腰を入れた編集業務に取りかかることが今の大きな課題です。

NPO法人20世紀アーカイブ仙台
公式Web:http://www.20thcas.or.jp/
3.11市民が撮った震災記録Web:http://www.sendai-city.org/311.htm/
3.11キヲクのキロク、そしてイマ。Web:http://www.20thcas.org/