明治初期から中期にかけて、宮城刑務所の前身宮城集治館を描いた『宮城集治館』(著・佐佐木邦子氏)読了。
「戊辰の戦、その後の御一新、次々に起こる新しい変化にどう付いていくか。それが暮らしというものだった。」
歴史書では伝わりにくい、戊辰戦争で降伏した仙台藩の悲哀や明治の御一新後の130〜140年前のまちの様子が、宮城集治館の看守・囚人目線で描いたフィクション。
特に興味深かったのは、明治時代になって行われた貞山堀改修が舟運や雇用対策のためだけではなく、田畑の排水対策でもあったということ。雨が降ればあっという間に大きな沼ができ、しかも海水が入り込む地域。米作りには不適切で、長年農家は泣かされていた。砂地の堀改修という難作業に追われる囚人たちに、お百姓さんが有難やと手を合わせるシーンはとても印象的です。蒲生や野蒜についても触れているので、貞山運河好きな方にはおすすめの一冊。
戊辰戦争で活躍した猛者、烏組の細谷十太夫も登場ー。